詩シリーズ

「故に」

全てを極めてしまった人間だと思っていた

後ろを振り返れば蹴落としてきた確かだった仲間達

彼は欲した愛を欲した

身を犠牲にして追い求めようやっと勝ち取った光を
たいせつに、たいせつに抱え過ぎる
あの顔に覚えはなくって
不思議と傷も癒えた気になって
この地に足を踏み入れたことさえ忘れて
振り返れば望まれない骸の数々に震え
抱えている光によって真っ黒になってしまった
己がなんだか滑稽に見えたんだ

嗚呼、あたたかかった父さんの背中
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