詩シリーズ

「ピアス」

「ホールが固まるまで弄っちゃいけないよ。」

開ける痛みと刻む情景。
ファーストピアスは可愛いもんでしょ。

そう、可愛いもんよ。
可愛い、可愛くて可愛いくて、
目に入れたって痛くない。
痛くない、感じない。
感じないの、ちっとも感じないの。

縋るもんったって言いつけ守って。
固まるまで弄っちゃいけないから、その時まで待ってるんだって。

待っててもさ、固まってもさ、
飾るもんってば無かったらさ、
ねぇ、ピアス意味無いでしょ?

ほらまた、そうやって
身体に穴開けてくんだ?
飾るもん無いくせに開けてくんだ?

ファーストピアスは可愛いもんでしょ。
でも、アタシの身体には何個も何個もファーストピアスが在って
弄っちゃいけないから、そのままで
いつまで経っても飾れなくて

アタシの身体は穴だらけで、あんたは綺麗で
綺麗で、飾りたくて
綺麗を、飾りたいから
でも、無くて

あんた、居なくて

「居ないじゃん」

笑っちゃうね
残ったのは、
ぽっかり開いた穴と少しの……
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