詩シリーズ

「脚」

また、鉄塔が視える

電線が何処までも伝っていて、

コントラスト比の高いモノクロ写真

幾ら濃淡をつけても、温度が分からないのさ

補助輪を外すため練習していたんだ

嗚呼、見上げた先には聳え立つ

自転車が漕げるようになったら、この世界の端っこまで行けるのかな

ぼくはいつのまにか、
漕げるようになっていたけれど、

何処まで漕ぎ続けても、景色は変わらないんだ

輪はきちりと廻っているのにな

ぼくは逃げられないのかな

こもった音だけが聴こえる、
何もかも捨てて自分の足で走ってみても

息が切れるばかり

ぼくは逃れられないのかな
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