蛍火のような恋だった
第10章 蛍火のような恋だった

蛍の通夜には、クラス全員が参加した。

遺影の中の蛍は、いつも見せていた、あの優しい笑顔を浮かべていて。

その笑顔に語りかければ、応えてくれるような気がして、胸がぎゅっと痛んだ。

会いたいーー

声が聞きたくて、どうしようもなくなる。

ちゃんと別れを告げたはずなのに、まだ君がいない現実を、心が受け止めきれない。

隣を見ても、君はもういない。

君のいなくなった世界は、ぽっかりと大きな穴が空いたみたいで、それを修復しないまま、時間だけが過ぎていく。






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