蛍火のような恋だった
第1章 風運びと出逢い


ジリジリと照りつける太陽が、アスファルトに熱をため込み、肌を焼くような熱気を返してくる。

日傘をさしているから、上から降り注ぐ暑さはなんとか凌ぐことができるけど、下からくる照り返しの熱はどうすることもできない。

これじゃあ、また肌が赤くなっちゃうな…

今まであまり外出をしてこなかった私の肌には、夏の日差しが強すぎるのか、ちりちりと焼けるような感覚がして、すぐ赤くなってしまう。

私は日傘の持ち手をくるくると回した。

「おい裕也、早くしないと遅刻すんぞ」

そんな私の横をどこかぶっきらぼうな、でも聞いてい心地の良い声をした男子が、通り過ぎていく。

今日は土曜日。

きっとこれから休日部活に向かうのだろう。





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