まほうどうぶつのお医者さん

ニーナは小学3年生の女の子。
ふわふわの長い髪には、いつもピンク色のリボンをつけています。

ニーナのお父さんは、動物のお医者さんです。
やさしいお父さんは、動物たちにも飼い主さんにも大人気。
赤いとんがり屋根の動物病院には、いつもたくさんの動物たちがやってきます。

ニーナの夢は、いつかお父さんみたいな動物のお医者さんになること。
お父さんに似て心優しいニーナは、こまっている動物を見るとほうっておけません。
これまでに、犬や猫、カエルにミミズ、ほかにもいろいろな生き物のピンチを救ってきました。


ある日のこと。
ニーナが、お友だちのモカといっしょに学校から帰ってくると、「く~ん」という悲しそうな声が聞こえてきました。

「あれ?」
「だれか泣いてるね」

ニーナとモカが鳴き声の元を探すと、そこにはかわいい子犬がいました。

白くてふわふわの長い毛のその子犬は、おびえているようで、小さくふるえています。

「どうしたの?」

ニーナは頭をなでなでしようと子犬に手をのばして……、「あっ」と声をあげました。

「この子の背中……、羽が生えてる!」

ニーナの言葉に、モカもあわてて子犬の背中に目をこらします。

「あ、ほんとだ!」
 ニーナとモカは顔を見あわせます。

身体と同じ白色でとても小さいからよく見ないとわからないけれど、背中にあるのはたしかに羽です。絵本に出てくる天使みたいな、かわいい羽。

でも、その羽をよく見ると、赤い血がにじんでいます。

「はやくお父さんにみてもらわなきゃ!」

ニーナは、ピンク色のカーディガンを脱いで、そこに羽のはえた子犬をそっと包んで抱きました
子犬は、まんまるのうるんだ瞳で、ニーナの顔を見ます。

「だいじょうぶだよ、ぜったいに助けるからね!」

ニーナは子犬を抱いて、モカはニーナの分のランドセルを右肩にかけて、2人はニーナのお父さんの動物病院へと急ぎました。

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