まほうどうぶつのお医者さん
3
次の日。
ニーナが学校に登校するなり、モカがニーナの席にやってきます。
「おはよう!昨日の子犬、元気になった?」
モカの言葉に、ニーナは首を横に振ります。
「ううん」
「そうなんだ……」
「傷はすっかりよくなってるんだよ? でも、なんだかぐったりしてるんだよね……」
ニーナは今朝の子犬の様子を思い浮かべます。
ケガの部分はかさぶたになりはじめていました。これならきれいに治りそう。
なにもしないで、かさぶたが自然にはがれ落ちるのを待つだけです。
でも、子犬は元気がありません。
ぐったりと横になっているばかり。
ミルクやドックフードのお皿を差しだしても、くんくんと少し鼻を寄せるだけで、口に入れようとはしません。
「どうしたらいいのかなぁ、わたあめちゃん。」
ニーナがつぶやくと、モカが「わたあめちゃん!」とにっこり笑います。
「それって、あの子の名前? ニーナがつけたの? ぴったりだね!」
「でしょう! 白くてふわふわで、わたあめみたいだから、わたあめちゃん。早く元気になるといいなぁ」
ニーナは教室の窓の向こうの空を見あげます。
青い空に、ぷっかりと浮かぶ白い雲。
「わたあめちゃん、雲にもちょっと似てるなぁ……」
わたあめちゃんの白い毛を思い出して、ニーナの胸はチクンと痛みます。
元気はないけれど、わたあめちゃんはすっかりニーナに慣れてくれたようで、優しく背中をなでると、いつも心地よさそうな顔になるのです。
その顔がかわいくてかわいくて、早くなんとか元気にしてあげたいのに、なにもできなくて、ニーナはもどかしい気持ち。
羽のはえた不思議な犬。
わたあめちゃんは、いったいどこからやってきたのでしょう。
わたあめちゃんに家族や飼い主がいるなら、どれだけ心配していることか。
もしかしたら、お家に帰れたら元気になるのかな?
でも、首輪もつけていないし、お家を探す手がかりはなにもありません。
羽のケガが治ったら、自分でお家に帰れるのかな?
あの羽、どこでどうなってケガしたんだろう。羽……。
「あ!」とニーナがなにかを思いつきました。
「ねぇ、モカ。羽が生えてるってことは、わたあめちゃん、空を飛べるんじゃない?ってことはわたあめちゃんのお家は……、雲の上の国じゃなかいな!?」
「ええっ!」
モカはびっくりして、考えこみます。
「でも、雲って遠くから見るとふわふわの綿みたいで寝転がったり走りまわったりできそうだけど、本当は小さな水の粒の集まりなんだって、図鑑で見たことある。だから上に乗ることはできないんだって」
「たしかにそう。だけどさ、図鑑には羽のある犬なんて、のってない。図鑑を作っている大人たちも知らない、魔法みたいな世界があったっておかしくないじゃん!」
「魔法の世界、か」
ニーナとモカは空を見あげます。
「魔法使いだったら、すぐにわたあめちゃんを元気にしてあげられるのかなぁ」
モカがぽつりとつぶやきます。
ニーナは考えます。
「魔法、魔法……」
2人は「あっ!」と顔を見あわせます。
「魔女の家!!」
街のはずれにある、魔女がすんでいるというウワサの大きなお家。
あそこに行けば、なにか分かるかもしれない。
2人は作戦を考えはじめました。
ニーナが学校に登校するなり、モカがニーナの席にやってきます。
「おはよう!昨日の子犬、元気になった?」
モカの言葉に、ニーナは首を横に振ります。
「ううん」
「そうなんだ……」
「傷はすっかりよくなってるんだよ? でも、なんだかぐったりしてるんだよね……」
ニーナは今朝の子犬の様子を思い浮かべます。
ケガの部分はかさぶたになりはじめていました。これならきれいに治りそう。
なにもしないで、かさぶたが自然にはがれ落ちるのを待つだけです。
でも、子犬は元気がありません。
ぐったりと横になっているばかり。
ミルクやドックフードのお皿を差しだしても、くんくんと少し鼻を寄せるだけで、口に入れようとはしません。
「どうしたらいいのかなぁ、わたあめちゃん。」
ニーナがつぶやくと、モカが「わたあめちゃん!」とにっこり笑います。
「それって、あの子の名前? ニーナがつけたの? ぴったりだね!」
「でしょう! 白くてふわふわで、わたあめみたいだから、わたあめちゃん。早く元気になるといいなぁ」
ニーナは教室の窓の向こうの空を見あげます。
青い空に、ぷっかりと浮かぶ白い雲。
「わたあめちゃん、雲にもちょっと似てるなぁ……」
わたあめちゃんの白い毛を思い出して、ニーナの胸はチクンと痛みます。
元気はないけれど、わたあめちゃんはすっかりニーナに慣れてくれたようで、優しく背中をなでると、いつも心地よさそうな顔になるのです。
その顔がかわいくてかわいくて、早くなんとか元気にしてあげたいのに、なにもできなくて、ニーナはもどかしい気持ち。
羽のはえた不思議な犬。
わたあめちゃんは、いったいどこからやってきたのでしょう。
わたあめちゃんに家族や飼い主がいるなら、どれだけ心配していることか。
もしかしたら、お家に帰れたら元気になるのかな?
でも、首輪もつけていないし、お家を探す手がかりはなにもありません。
羽のケガが治ったら、自分でお家に帰れるのかな?
あの羽、どこでどうなってケガしたんだろう。羽……。
「あ!」とニーナがなにかを思いつきました。
「ねぇ、モカ。羽が生えてるってことは、わたあめちゃん、空を飛べるんじゃない?ってことはわたあめちゃんのお家は……、雲の上の国じゃなかいな!?」
「ええっ!」
モカはびっくりして、考えこみます。
「でも、雲って遠くから見るとふわふわの綿みたいで寝転がったり走りまわったりできそうだけど、本当は小さな水の粒の集まりなんだって、図鑑で見たことある。だから上に乗ることはできないんだって」
「たしかにそう。だけどさ、図鑑には羽のある犬なんて、のってない。図鑑を作っている大人たちも知らない、魔法みたいな世界があったっておかしくないじゃん!」
「魔法の世界、か」
ニーナとモカは空を見あげます。
「魔法使いだったら、すぐにわたあめちゃんを元気にしてあげられるのかなぁ」
モカがぽつりとつぶやきます。
ニーナは考えます。
「魔法、魔法……」
2人は「あっ!」と顔を見あわせます。
「魔女の家!!」
街のはずれにある、魔女がすんでいるというウワサの大きなお家。
あそこに行けば、なにか分かるかもしれない。
2人は作戦を考えはじめました。