まほうどうぶつのお医者さん
9
雲の上の魔法の王国。
美しくて優しい女王様が住むお城からのびる大通り沿いに、そのどうぶつ病院はあります。
この国でたった1つだけの、どうぶつのための病院です。
病院の院長先生は、10歳の女の子。
看護師さんは、院長先生の大親友で、同じく10歳の女の子です。
2人は実は人間です。魔法は使えません。
だから、知恵と優しさで、動物たちのケガや病気に向きあいます。
人間の世界ではふつうの小学生の女の子。
でも、ここでは立派なお医者さんと看護師さん。
いつも、この国の動物たちのことを考えています
**************************************
「はい、次の方~」
院長先生が呼ぶと、
緑色のワンピースを着た魔法つかいが、ふあんそうな顔で入ってきました。
おでこから角が生えた子ねこを抱っこしています。
「どうしましたか?」
「この子、きのうからちょっと熱があるみたいで、食欲もないし、なにか病気なんじゃないかなぁと思いまして」
「なるほど、ちょっと見せてくださいね~」
白衣姿の、すっかり獣医さんらしくなったニーナが、子ねこに手をのばします。すると。
「ぎゃーっっ!! やられたーーーーーーーっ!!!!!」
子ねこはするどい爪でニーナの手をズサッとひっかきました。
「だ、だいじょうぶ!?」
「だいじょうぶ……じゃないっ! あっ、逃げた! モカ、ごめん、あの子つかまえて!」
「うちの子がすみません! ちょっと、シャンクス!! 待ちなさいっ!!」
たちまち診察室は大さわぎ。
子ねこは、診察室のつくえから本棚、ベッドからまたつくえ……、と、あちこち逃げ回っては、本やら花瓶やら、いろんなものを倒していきます。
「キャーーーーっ! その時計、女王様からもらっただいじなヤツ~~~~~~~!」
「そっちの花瓶は、市場で見つけたお気に入りなのにーっ!」
「うわっ。も~、水びたしなんですけどーっ!?」
「ううっ、きれいなお花が台無し……」
「っていうか、この子、ほんとうに熱あるの? めちゃくちゃ元気なんですけどーっ!」
「……ですね。なんか、うちの子、いつもの元気を取りもどしたみたい。さすが動物病院だわ! 魔法でちょちょいと治しちゃおうかと迷ったけど、ここでみてもらってよかった。先生、ありがとうございます!」
「いや、まだなにもしてないしっ!!!」
ニーナとモカの声がそろいます。
まぁでも、シャンクスちゃんが元気になったなら、それがいちばん。
と、ニーナがそう思ったとき。
「ねぇ、ニーナ。そろそろ診察時間おわるよ! 早くお家に帰って、ちゃんと寝なきゃ。あした、算数のテスト!!!」
モカのことばで、ニーナははっとします。
「わ、わすれてた~~~~~!!」
**********************************
ニーナの動物病院はいつもこんな感じで、てんやわんや、おおさわぎ。
まだまだお父さんのような頼れる動物のお医者さんには程遠いかもしれません。
だけどきっとだいじょうぶ。
ニーナはきっとすてきなまほう動物のお医者さんになれると思います。
だって、そのためにいっしょうけんめいがんばっているから。
さぁ、次はどんなまほう動物がやってくるかな?
(おわり)
美しくて優しい女王様が住むお城からのびる大通り沿いに、そのどうぶつ病院はあります。
この国でたった1つだけの、どうぶつのための病院です。
病院の院長先生は、10歳の女の子。
看護師さんは、院長先生の大親友で、同じく10歳の女の子です。
2人は実は人間です。魔法は使えません。
だから、知恵と優しさで、動物たちのケガや病気に向きあいます。
人間の世界ではふつうの小学生の女の子。
でも、ここでは立派なお医者さんと看護師さん。
いつも、この国の動物たちのことを考えています
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「はい、次の方~」
院長先生が呼ぶと、
緑色のワンピースを着た魔法つかいが、ふあんそうな顔で入ってきました。
おでこから角が生えた子ねこを抱っこしています。
「どうしましたか?」
「この子、きのうからちょっと熱があるみたいで、食欲もないし、なにか病気なんじゃないかなぁと思いまして」
「なるほど、ちょっと見せてくださいね~」
白衣姿の、すっかり獣医さんらしくなったニーナが、子ねこに手をのばします。すると。
「ぎゃーっっ!! やられたーーーーーーーっ!!!!!」
子ねこはするどい爪でニーナの手をズサッとひっかきました。
「だ、だいじょうぶ!?」
「だいじょうぶ……じゃないっ! あっ、逃げた! モカ、ごめん、あの子つかまえて!」
「うちの子がすみません! ちょっと、シャンクス!! 待ちなさいっ!!」
たちまち診察室は大さわぎ。
子ねこは、診察室のつくえから本棚、ベッドからまたつくえ……、と、あちこち逃げ回っては、本やら花瓶やら、いろんなものを倒していきます。
「キャーーーーっ! その時計、女王様からもらっただいじなヤツ~~~~~~~!」
「そっちの花瓶は、市場で見つけたお気に入りなのにーっ!」
「うわっ。も~、水びたしなんですけどーっ!?」
「ううっ、きれいなお花が台無し……」
「っていうか、この子、ほんとうに熱あるの? めちゃくちゃ元気なんですけどーっ!」
「……ですね。なんか、うちの子、いつもの元気を取りもどしたみたい。さすが動物病院だわ! 魔法でちょちょいと治しちゃおうかと迷ったけど、ここでみてもらってよかった。先生、ありがとうございます!」
「いや、まだなにもしてないしっ!!!」
ニーナとモカの声がそろいます。
まぁでも、シャンクスちゃんが元気になったなら、それがいちばん。
と、ニーナがそう思ったとき。
「ねぇ、ニーナ。そろそろ診察時間おわるよ! 早くお家に帰って、ちゃんと寝なきゃ。あした、算数のテスト!!!」
モカのことばで、ニーナははっとします。
「わ、わすれてた~~~~~!!」
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ニーナの動物病院はいつもこんな感じで、てんやわんや、おおさわぎ。
まだまだお父さんのような頼れる動物のお医者さんには程遠いかもしれません。
だけどきっとだいじょうぶ。
ニーナはきっとすてきなまほう動物のお医者さんになれると思います。
だって、そのためにいっしょうけんめいがんばっているから。
さぁ、次はどんなまほう動物がやってくるかな?
(おわり)