ハイスぺ幼馴染が約束を守ってくれるって本当⁉
幼い頃の約束
「やーい、やーい、泣き虫 楓くるくる髪で変な髪型!いつも同じ服で汚いし臭いぞ!」
小柳 楓(こやなぎ かえで)5歳、
髪は母親譲りの茶色で強いカールのくせ毛。
母親は楓がまだ赤ちゃんの時に病気で亡くなってしまった。
そして新しい母親が家に来た。
最初は良くしてくれた継母だが、妹が生まれると急に楓が邪魔になったのか母のいじめが始まった。
お父さんは味方だけれど、お母さんに強く言えずに見て見ない振りをする。
服も新しい物はあまり買って貰えず、いつも同じ服を着ている。
家の中に楓の味方は誰もいない。
泣き虫だった楓はいつも近所の男の子達に揶揄われていじめられていた。
今日も髪を引っ張られているが抵抗できずに泣くことしかできない。
「おい、やめろよ!楓をいじめるな!」
助けに来てくれたのは、十条 篤志(じゅうじょう あつし)8歳。
近所に住んでいる優しいお兄ちゃんで、楓にとっては正義のヒーロー。
孤独だった楓には唯一の味方だった。
「やべぇ、十条だ!逃げろ!」
篤志はいじめっ子を追い払うと楓の前に立って笑顔を見せた。
「楓、大丈夫か?」
「…うん、あっくん、…ありがとう。でも…楓は変な髪だし服も汚いから仕方ないよ…。」
「楓は汚く無いし、髪もふわふわで柔らかそうで可愛いよ。僕が大人になったら楓を必ず守ってやる。そうだ…楓は僕のお嫁さんになるんだ。」
「うん、あっくんのお嫁さんになる。」
篤志は楓の頭を優しく撫でながら笑顔を向けてくれた。
楓は篤志が頭を撫でてポンポンとしてくれることが大好きだった。
しかし篤志はそれから間もなくして楓に姿を見せなくなってしまった。
どうやら家の都合で引っ越しをしたらしいと楓は後から知ったのだ。
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