転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
13・悪役令嬢の嫌がらせ

 結論から言うと、ルアーナ公爵令嬢は1週間の停学処分が下された。
 ユイガはそれに納得できないと苛立ちを募らせていたが、現段階で彼女を退学まで追い込むには罪状が軽すぎる。

(一発引っ叩かれといたほうが、よかったのかもね……)

 そんな後悔に苛まれながらも、ランカがいない間は穏やかな日々を送っていたのだが……。

 ルアーナ公爵令嬢の停学が開けた直後、ティナとユキリの周りで、ある異変が起きた。
 ――日本式の嫌がらせを受けたのだ。

 1日目は机の上に花瓶が置かれた。
 2日目は靴箱に置いてあったローファーに、大量のネジが詰め込まれる。
 3日目は教科書に、マジックペンで落書き。
 4日目はペンケースをゴミ箱に捨てられ。
 5日目は根も葉もない噂を流された。

『ユキリ!』
『わ……っ』

 6日目は体育の授業でボールを顔面にぶつけられかけたが、弟と殿下の所属するクラスとの合同授業であったため、どうにか難を逃れた。

『きゃ……っ』

 ――そして昨日。
 7日目は、ティナが階段の踊り場で背中を押されたのだ。

『誰だ! ティナを陥れようとしてる奴は!』

 これにはロンドも怒りを隠しきれず、姿の見えない影に向かって叫んだがーー実行犯らしき人物は立ち止まることなく、走り去ってしまった。
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