転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
15・ザルツと言い争い
「う、んん……」
呻き声を上げたユキリは、ゆっくりと目を覚ます。
意識を覚醒させ、真っ先に飛び込んできたのはーー。
「ユキリ……! よかった。目が覚めたんだね!」
こちらの細い指先を両手で握りしめる、マイセルだった。
(あれ? 私……)
ユキリはここに至るまでの経緯を回想する。
(怪我をした殿下を、助けようとして……? それから、どうなったのかしら……?)
うまく思い出せずに首を傾げれば、彼はこちらの様子を目にしてほっとしたように言葉を紡ぐ。
「急に倒れたから、心配したんだ」
マイセルはユキリの顔を覗き込み、右手に指先を絡めた。
離れないように、強く。
瞳は熱っぽく潤み、その奥底にはこちらを心配しているだけとは到底思えない感情が滲み出ていた。
(私を心の底から好きだって気持ちが、殿下から溢れ出ているわ……)
ユキリはなんとも言えない気持ちでいっぱいになった。恋ラヴァ本編を知っているからこそ、その想いに応えるのはどうしても抵抗があるのだ。
(ヒロインと自分を同一視するタイプなら、素直に受け入れられたのかな……)
イケメンの攻略対象から好意を向けられ、気分が悪いと思う乙女ゲームプレイヤーの方が少ないだろう。
だが、自己投影派になれなかったのだからどうしようもない。
呻き声を上げたユキリは、ゆっくりと目を覚ます。
意識を覚醒させ、真っ先に飛び込んできたのはーー。
「ユキリ……! よかった。目が覚めたんだね!」
こちらの細い指先を両手で握りしめる、マイセルだった。
(あれ? 私……)
ユキリはここに至るまでの経緯を回想する。
(怪我をした殿下を、助けようとして……? それから、どうなったのかしら……?)
うまく思い出せずに首を傾げれば、彼はこちらの様子を目にしてほっとしたように言葉を紡ぐ。
「急に倒れたから、心配したんだ」
マイセルはユキリの顔を覗き込み、右手に指先を絡めた。
離れないように、強く。
瞳は熱っぽく潤み、その奥底にはこちらを心配しているだけとは到底思えない感情が滲み出ていた。
(私を心の底から好きだって気持ちが、殿下から溢れ出ているわ……)
ユキリはなんとも言えない気持ちでいっぱいになった。恋ラヴァ本編を知っているからこそ、その想いに応えるのはどうしても抵抗があるのだ。
(ヒロインと自分を同一視するタイプなら、素直に受け入れられたのかな……)
イケメンの攻略対象から好意を向けられ、気分が悪いと思う乙女ゲームプレイヤーの方が少ないだろう。
だが、自己投影派になれなかったのだからどうしようもない。