転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
16・ダンスレッスン
『僕は言ったよね? 離れないでって』

 あれから自室に戻ったユキリは、彼からこっ酷く叱られた。

(もう二度とザルツと近づくなって言われても……)

 あちらから近づいて来るのだから、こちらは避けようがない。

『まったく……。これだから姉さんは……』
『無茶したらどうなるか。わからされたいのかな?』

 あれこれ反論したところで、彼らの機嫌を損ねるだけだ。

『ゴメンナサイ。モウシマセン。ユルシテクダサイ』
『次やったら、恋愛学園には通わせないからね』

 反論したい気持ちをぐっと堪えて棒読みの謝罪を繰り返す。
 その後殿下の口から紡がれた不穏な言葉を無視することで、どうにかその場は切り抜けたが……。
 ーー残念ながらユキリは、まったく反省していなかった。

(あれから2人の仲は、順調に進展してるみたい!)

 ――翌日。

 何事もなかったかのように学園に登校したユキリは、当然のように教室で談笑するロンドとティナの姿を、ご機嫌な様子で眺めていた。

「おはようございます、ルアーナ公爵令嬢!」
「ええ。ごきげんよう」

 そんな中、金髪縦ロールを揺らして颯爽と登校してきた女子生徒の姿を目にする。
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