転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
7・訓練場でドキドキイベント
 ーーそれから、あっと言う間に3か月が過ぎ去った。

 ユイガは剣術の鍛錬に勤しむ殿下へ志願し、一緒に最上級の訓練を受け始める。
 その間暇なユキリは刺繍にマナー講座、ダンスレッスンと女性らしさを身につける技術を学んでいた。

(これって、妃教育とかじゃないよね……?)

 前世の記憶を持っているからか。

『ラクア男爵令嬢は飲み込みが早くて、将来有望ですね』

 こんなふうにお世辞を言われるくらいの成果は出せてほっとしてはいるものの……。知らず知らずのうちに外堀を埋められた可能性も考慮すると、これからは適度に手を抜くのも必要になってくるのではと思わずにはいられなかった。

(真面目に受けるの、やめようかな……)

 一回くらいサボって問題児アピールをしたほうが、マイセルの恋心も薄れるのでは――そんな思いを抱いても実行に移せなかったのには、理由がある。

(何も言わずにサボったら、ユイガに泣かれそうだし……)

 シスコン街道を突き進む弟は、恋ラヴァでの殿下と負けず劣らずなヤンデレの鱗片を見え隠れさせている。
 こんな状態で行方を晦ませたら、間違いなく王城の人々に迷惑がかかるだろう。
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