魔法使いユメと小さなドールフレンズ!

5、ユメと小さなキセキ

 目をさますと、ユメはベッドの中でした。
 レースと貝がらのふとん。自分の部屋です。

「マリン……みんなは?」

 ユメは、あわてて起き上がります。
 コトン。
 となりに、マーメイドの人形が寝ていました。人魚の尾びれをつけた、マリンです。

(そういえば、一緒に眠ろうとして……あれ?)

 右手には、ムーンステッキをにぎっていました。
 もちろん、おもちゃなので光ることもありません。
 ベッドからゆっくりと降りて、ユメは机の上にある写真立てを手に取りました。

「……あの魔法使いのおばあさん。やっぱり、似てる気がする」

 写真の中でやさしく笑っているのは、白いかみの毛の女の人。もういないユメのおばあちゃんです。
 おかしの家で会ったおばあさんと、そっくりな顔をしています。

(どうしてだろう。胸の奥がギュッとなって、ちょっぴり苦しいのは)

 ドールハウスのソファーに座らせたマリンの頭をなでて。

「……マリン」

 ユメが名前をよびますが、反応はありません。

「フルオパールは……、人形の国はどうなっちゃったのかな? 守れたのかな」

 人さし指でマリンのほっぺをさわります。
 ずっと同じすまし顔に、涙があふれてきました。

「ぜんぶ、夢だったのかな? シャオの記憶は、もどったかな? キキは、カケラを取りもどせたかな? マリンは……」
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