宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける
宗主国から来た皇女
「よしっ。」
フィロメナは今日も鏡の前で気合いを入れる。
毎朝時間をかけて、きっちり化粧を施す。
この国に嫁いできた時からずっと。
そしてどんなに暑くても、
胸にギュッとさらしを巻いて補正する。
コルセットと同じように。
これは毎日のルーティーンなのだ。
全ての支度が終わり、
スッと立ち上がったフィロメナを見つめて
侍女長のマーゴが悲し気に眉を寄せる。
「王妃様はそのままで美しいのですから、
そんなにキツイ化粧をしなくても・・・」
毎朝繰り返されるマーゴのお小言だ。
フィロメナが気に留めることはない。
「いいえ。これで良いのよ、マーゴ。これは私の鎧なんだから。」

フィロメナはアルドレイン王国の国王
オルランドの妻、つまりこの国の王妃だ。
今からおよそ1年前に、
ドラゴニア帝国から嫁いできた。
政略結婚ゆえに夫とは結婚式で初めて対面し、
夫婦仲は険悪ではないものの良好でもない。
淡々と公務をともにする
ビジネスパートナーだった。
そして夫より厄介なのが、
貴族たちの社交界。
社交界に君臨するのは国王の母、すなわち王太后。
そしてNo.2に位置するのが
国王のはとこにあたるサレハ王女だ。
フィロメナはこの2人から
全く受け入れられておらず、
社交界には親しいものが1人もいない。
つまり味方がゼロなのである。
フィロメナは今日も鏡の前で気合いを入れる。
毎朝時間をかけて、きっちり化粧を施す。
この国に嫁いできた時からずっと。
そしてどんなに暑くても、
胸にギュッとさらしを巻いて補正する。
コルセットと同じように。
これは毎日のルーティーンなのだ。
全ての支度が終わり、
スッと立ち上がったフィロメナを見つめて
侍女長のマーゴが悲し気に眉を寄せる。
「王妃様はそのままで美しいのですから、
そんなにキツイ化粧をしなくても・・・」
毎朝繰り返されるマーゴのお小言だ。
フィロメナが気に留めることはない。
「いいえ。これで良いのよ、マーゴ。これは私の鎧なんだから。」

フィロメナはアルドレイン王国の国王
オルランドの妻、つまりこの国の王妃だ。
今からおよそ1年前に、
ドラゴニア帝国から嫁いできた。
政略結婚ゆえに夫とは結婚式で初めて対面し、
夫婦仲は険悪ではないものの良好でもない。
淡々と公務をともにする
ビジネスパートナーだった。
そして夫より厄介なのが、
貴族たちの社交界。
社交界に君臨するのは国王の母、すなわち王太后。
そしてNo.2に位置するのが
国王のはとこにあたるサレハ王女だ。
フィロメナはこの2人から
全く受け入れられておらず、
社交界には親しいものが1人もいない。
つまり味方がゼロなのである。
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