宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

知ってしまった王妃の秘密【レナート視点】

フィロメナたちを覗いていたのは
オルランドの側近レナートである。

レナートはずっと、
ダンスパーティー翌朝の
フィロメナの言葉が気になっていた。
つまり、「エス」とは何だ？ということである。
なぜか無性に気になったレナートは
フィロメナについて調べ始めた。
フィロメナに関するエスとは？
その答えは案外簡単に見つかる。
フィロメナの母親がエスメリア王国の王女だった。
(王妃さまと踊っていたのはエスメリア王国の者だったのか。)

エスメリア王国の女性は
多くがブロンドヘアで大きな瞳が特徴だ。
そして小柄ながら豊満な身体つき。
アルドレインの高級娼館にも
エスメリア出身の高級娼婦がいて、
非常に人気があるというのは
上流社会では知られた話しだ。
人気の高級娼婦は値段も高いので
彼女たちを買えるというのは
貴族男たちの間ではある種のステイタスでもある。

フィロメナは確かにブロンドヘアだが、
つり目気味の濃い化粧をいつもしているので
素顔の顔立ちは分からない。
胸だって見る限り真っ平らだし、
「王妃は絶壁」などど貴族男たちは陰口を言うほどだ。
エスメリアの女性の特徴とは少し違う。

まさかーーー。
レナートは1つの仮説を立てる。
フィロメナはわざと濃い化粧をして
素顔を隠しているんじゃないか。