■□ 死 角 □■
あとがき
**あとがき**
長い間、お付き合いいただきました読者のみなさま方、今までお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。
この場をお借りして、深く御礼申し上げます。
さて、久々の『あとがき』です。ここでは作品に対する思い入れやストーリーの流れ、裏話等を語らせていただきます。
『Room sharE』に続いて、本格(?)ミステリを書くのは約一年ぶりでございます。
この『■□ 死 角 □■』と言うタイトルに隠されたものは、文字通り“死角”と、主人公の灯理やその親友の陽菜紀がやたらとこだわった四角を表しています。
人と同じ枠の中で生きていたい灯理は、四角の中に留まり、その性格は
幼少期のクラスの絶対的女王の立場に鎮座していた陽菜紀の傍らで、影のようにひっそりと寄り添う存在でした。
人と同じ枠を越えたい陽菜紀は、四角の線から常に外にでようとしていて、
昔から何をするにもリーダーシップを取り、みんなから頼られる存在でしたが、時には奔放過ぎて周囲を困らせることもあります。
相反する二人の女性の表と、裏……つまり裏側は他人にとっては「死角」です。
これはその見えない部分の「死角」がストーリーの中に点在しています。
冒頭は灯理と陽菜紀の幼少時代、そして成長してから起こった事件から始まります。
陽菜紀は27歳と言う短い人生の中、当然ながら、いつでもたくさんの男性を魅了し、惹きつけました。
一方の灯理は、30歳を目前として結婚に焦る、と言う…ごく一般的な女性です。
正反対の二人ですが、お互い“依存”と言う形で寄り添っていました。陽菜紀は灯理にだけ心を許し、一方の灯理も陽菜紀を頼る存在でした。
そんなある日、陽菜紀が何者かによって殺される、と言う悲惨な事件が起きます。
衝撃的な出来事に灯理がショックを受けるさなか、皮肉なことに陽菜紀の死が、疎遠になっていた友人たちを結びつけます。陽菜紀の死を通して、友人たちの“裏側”―――つまり「死角」が明るみになるのを目の当たりにする灯理。