秘めた恋は、焔よりも深く。
エピローグ
互いの家族への挨拶も済み、入籍も無事に終えた二人。日常は静かに、しかし確実に変わっていた。
そんなある日、美咲は社内報のメールを受け取り、目を疑う。
二人が社長室に呼ばれたのは、その直後だった。
「まずは結婚、おめでとう」
真樹がいつもの落ち着いた声で言う。
「ありがとうございます」
二人は並んで頭を下げた。
美咲は、思わず小声でつぶやく。
「あの……社長、あの社内報は恥ずかしいです」
真樹は笑みを浮かべ、首を振った。
「何を言う。うちと取引先の共同経営が決まったんだ。あの施設を社員と家族が破格の割引で使えるようになった。
ガーデンウェディングも好評らしい」
「……そうでしたか」
美咲は頬を赤らめながらも、心の奥が少し誇らしくなる。
「お疲れさん」
真樹はにこりと笑みを浮かべると、時計をちらりと見た。
「黒瀬、時間だ。行くぞ」
「はい」
龍之介は即座に立ち上がり、真樹のあとを追う。
美咲はその背中を見送りながら、胸の奥にじんわりとした温かさを感じていた。
その夜、自宅にて。
紙版の社内報とともに届けられた、模擬挙式のアルバムと社交ダンスの写真集。
表紙には堂々と、
「黒瀬龍之介・佐倉美咲 結婚披露」
の文字が刻まれていた。
ページをめくると、模擬挙式で撮影された写真が、三ページにもわたり掲載されている。
驚きと同時に頬が熱くなる美咲。
隣で肩を揺らして笑う龍之介の声が響く。
「真樹のやつ……やってくれるな」
美咲はうつむきながらも、心の奥が温かく満たされていく。
あの日のワルツも、交わした誓いの言葉も、もう「模擬」ではない。
すべてが、二人の人生そのものとして刻まれていくのだ。
そんなある日、美咲は社内報のメールを受け取り、目を疑う。
二人が社長室に呼ばれたのは、その直後だった。
「まずは結婚、おめでとう」
真樹がいつもの落ち着いた声で言う。
「ありがとうございます」
二人は並んで頭を下げた。
美咲は、思わず小声でつぶやく。
「あの……社長、あの社内報は恥ずかしいです」
真樹は笑みを浮かべ、首を振った。
「何を言う。うちと取引先の共同経営が決まったんだ。あの施設を社員と家族が破格の割引で使えるようになった。
ガーデンウェディングも好評らしい」
「……そうでしたか」
美咲は頬を赤らめながらも、心の奥が少し誇らしくなる。
「お疲れさん」
真樹はにこりと笑みを浮かべると、時計をちらりと見た。
「黒瀬、時間だ。行くぞ」
「はい」
龍之介は即座に立ち上がり、真樹のあとを追う。
美咲はその背中を見送りながら、胸の奥にじんわりとした温かさを感じていた。
その夜、自宅にて。
紙版の社内報とともに届けられた、模擬挙式のアルバムと社交ダンスの写真集。
表紙には堂々と、
「黒瀬龍之介・佐倉美咲 結婚披露」
の文字が刻まれていた。
ページをめくると、模擬挙式で撮影された写真が、三ページにもわたり掲載されている。
驚きと同時に頬が熱くなる美咲。
隣で肩を揺らして笑う龍之介の声が響く。
「真樹のやつ……やってくれるな」
美咲はうつむきながらも、心の奥が温かく満たされていく。
あの日のワルツも、交わした誓いの言葉も、もう「模擬」ではない。
すべてが、二人の人生そのものとして刻まれていくのだ。