うちの鬼畜社長がお見合い相手で甘くて困る
13
「そろそろ寝ようか」
焚き火を消して、後片付けも終わって。
時計を見ると、夜の十時をまわっていた。
私は寝袋を用意していた自分のテントに向かおうとした。
すると、後ろから少し間の抜けたような声がした。
「なあ……一緒に寝て」
えっ?
足が止まる。
振り返ると、海龍くんが少しだけ困ったような顔をして立っていた。
「テント泊、初めてなんだ。正直、寝られるか自信ない。お前が隣にいたら……たぶん、寝られる気がする」
……心臓がドクンと鳴った。
いつもは堂々としてるくせに、ちょっと不安げな目でこっちを見るなんて、ずるい。
「だ、だめっ!ふつう、男女が一緒にテントで寝るとか…」
そう言ってる自分の声が、どこか上ずっていた。
「別に何もしないよ」
海龍くんは、苦笑しながら手をあげる。
「……信じられないんですけど」
そう返したけど、本当は――
そんなふうに頼られたことが、嬉しくてたまらなかった。
「……少しだけなら」
気づけば私は、ぽそっとそう言っていた。
海龍くんの顔が、ぱっと綻んだ。
同じテントに入る。
狭い空間、近すぎる距離。
寝袋に包まりながら、隣に感じる体温がやけに気になる。
「ありがとう」
すぐ隣から、低く優しい声。
「……どういたしまして」
この夜は、きっと忘れられない。
焚き火を消して、後片付けも終わって。
時計を見ると、夜の十時をまわっていた。
私は寝袋を用意していた自分のテントに向かおうとした。
すると、後ろから少し間の抜けたような声がした。
「なあ……一緒に寝て」
えっ?
足が止まる。
振り返ると、海龍くんが少しだけ困ったような顔をして立っていた。
「テント泊、初めてなんだ。正直、寝られるか自信ない。お前が隣にいたら……たぶん、寝られる気がする」
……心臓がドクンと鳴った。
いつもは堂々としてるくせに、ちょっと不安げな目でこっちを見るなんて、ずるい。
「だ、だめっ!ふつう、男女が一緒にテントで寝るとか…」
そう言ってる自分の声が、どこか上ずっていた。
「別に何もしないよ」
海龍くんは、苦笑しながら手をあげる。
「……信じられないんですけど」
そう返したけど、本当は――
そんなふうに頼られたことが、嬉しくてたまらなかった。
「……少しだけなら」
気づけば私は、ぽそっとそう言っていた。
海龍くんの顔が、ぱっと綻んだ。
同じテントに入る。
狭い空間、近すぎる距離。
寝袋に包まりながら、隣に感じる体温がやけに気になる。
「ありがとう」
すぐ隣から、低く優しい声。
「……どういたしまして」
この夜は、きっと忘れられない。