うちの鬼畜社長がお見合い相手で甘くて困る
【おまけ】凪の覚悟
会社の統合レセプションが迫っていた。
凪は、思い切って海龍の姉・小笠原紗月に会いにいった。
「お願いです。あのパーティーに、私も参加させてください」
「……あなた、本気ね」
紗月は凪を見つめ、少し口角を上げて微笑んだ。
「よし、わかった。じゃあ、海龍の隣に相応しい女に仕立ててあげる。文句なしの、ね」
彼女が連れて行ってくれたのは、海龍が長年信頼を置いているハイブランドのブティック。
店内は落ち着いた照明に包まれ、選び抜かれたドレスが並んでいた。
スタイリストが凪を見て、すぐに頷く。
「この方には、柔らかさの中に芯の強さが見えるラインがいいですね。クラシカルで、でも品のある甘さを残しましょう」
何着か試着を重ね、ヘアメイクも整えられていく中で、鏡に映る自分に凪は少しずつ驚いていた。
(これが、私……?)
最後に選ばれたのは、シャンパンゴールドのドレス。
胸元のカッティングが上品で、ウエストラインが細く見えるデザイン。
華美すぎず、でも圧倒的に美しい。
紗月はそんな凪を一瞥して言った。
「これなら、あの子も言葉を失うわ。……ちゃんと、惚れ直させなさい」
凪は小さく笑って頷いた。