私の隣にいるのが俺じゃない理由を言え、と彼は言う

18★

私たちは、あの日の続きをするように、野田の家に行った。
ソファに二人でちょこんと座り、どちらも少し緊張していた。

「……あの格好、やばかった」
ぽつりと、野田が言った。
「エロすぎだろ…」

顔が一気に熱くなった。
だけど、今夜はもう、逃げない。
私も、ちゃんと向き合いたいと思っていた。

「……だって、濡れちゃったんだもん。仕方ないじゃん」
精一杯、冗談めかして言ってみる。

野田がふっと笑った。
「風花の着てた洋服、まだ洗ってないんだよ」

「え?」

「おまえの匂い、ついてるから……」

少し視線を逸らしながら、野田がぼそっと言った。

「ずっと取っておこうと思った」

「なっ……!」
思わず私の顔が真っ赤になる。
口に手を当てて見上げると、野田は楽しそうに笑っていた。

「からかってる……!」

「うん。ちょっとだけ」

そう言って、またふっと真顔になる。

「……けど、本気でもある」
低い声が耳に触れて、私は思わず息をのむ。

「俺、おまえの匂い、ずっと覚えていたい」


胸の奥がぎゅっと締めつけられた。
恥ずかしいはずなのに、嬉しくて、苦しくて。

私は小さく、野田のシャツの裾をつかんだ。
そして、目をそらさずに言った。

「……もう前みたいに、ごまかさないでね」

その瞬間、野田がそっと私の唇にキスを落とした。
「……ちゃんと、大事にする」

そして、もう一度、ゆっくりと唇が重なった。
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