御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました

第9章 理想の夫婦

新婚旅行から帰ってきた律さんは、明らかに態度が違くなった。

「千尋、今日も綺麗だよ。」

仕事へ行く前の、玄関での甘いささやき。

《千尋の声聞きたい。》

こっちも仕事しているのに、日中のラブコールリクエスト。

「千尋、今日はずっと抱きしめて寝るからね。」

今まで違うベッドに寝ていたのに、私のベッドに毎晩忍び込んでの大胆な密着。

「はぁー……」私のため息に滝君が、心配しする。

「どうしたんですか?」

「どうもこうも、旦那が私を好きすぎて。」

滝君は、コーヒーカップを口に運びかけた手を止めて、ぽかんと私を見た。

「……それ、ただの惚気じゃないですか。」

「違うの!本当に困ってるんだってば!」

私は必死に否定するけれど、頬が熱くなるのを感じた。
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