御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました

第10章 妊娠発覚

その夜の空気は、どこか熱を含んでいた。

まるで自分の中に灯った炎が、抑えきれずに揺れているようだった。

「律さん……」

ベッドの中で本を読んでいた律さんが、顔を上げて微笑む。

「ん?」

私は迷いながらも、意を決して声を絞り出す。

「……そっちに行ってもいい?」

その瞬間、律さんの手がスッと動いた。

優しく布団をめくる。

「いいよ。おいで。」

たったそれだけの言葉で、胸がドクンと高鳴る。

私はゆっくりベッドサイドに立ち、パジャマのボタンを外して──脱いだ。

律さんの瞳が、一瞬見開かれる。

「……たまらないね。」

静かに言いながら、律さんも身を起こし、自分のTシャツを脱ぐ。

月明かりが、彼の体にうっすらと影を落とす。

その筋肉のラインが、美しくて、眩しい。

私はそっと彼の胸に手を置いた。

「私……今夜は、私から……」

「うん……?」
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