御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました

第2章 必死の口説きとプロポーズ

そして数日後。

神楽木さんとの打ち合わせ当日。

社内の空気は、なぜか微妙にソワソワしていた。

──というか、一番落ち着きがないのは、うちの部長。

「なあ朝倉……今日の打ち合わせ、俺も同行した方がいいと思うんだよな。」

「え?」

「いや、やっぱり部下を一人で御曹司のもとに送るのって、ほら……こう、守ってやらなきゃいけない感あるっていうか。」

守るって……なんか違う。

でも、ふと考えた。

部長が隣にいれば、仕事の話しかしないで済むかもしれない。

あの人の“結婚攻撃”も、少しはセーブされる……かも?

「……じゃあ、お願いします。」

そう言った瞬間、部長の顔がパッと明るくなった。

「よっしゃ!いやー若い人の恋って、見てると楽しいんだよねぇ!」

ちょ、ただの野次馬……。

そして午後。
またあの、ガラス張りの部長室に通される。

「ようこそお越しくださいました。」
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