御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました

第4章 仮面夫婦説

うん、間違いない。私たち夫婦は、ちゃんと恋愛してるし、夫婦関係も順調そのものだ。

「よしっ!」

そんな気分の時って、不思議と仕事もはかどる。

「できた!」

達成感でいっぱいの私に、側にいた滝くんが恐るおそる声をかけてきた。

「なんか……最近、仕事めっちゃ充実してません?」

「そうね。これなら部長だって、“もっと仕事しろ”なんて言えないでしょ?」

にっこり笑うと、滝くんはさらにそろりと近づいて、こそっと耳打ちした。

「夫婦生活……上手くいってるんですか?」

その一言に、私は思わず吹き出しそうになった。

「えっ!」

私は滝くんを見た。

「ええっ?」

まさか、そんなこと聞いてくるなんて思わなかった。

「うん、まあ……この前なんて……朝、出かける時に……玄関で……」

言ってから、自分で顔が熱くなるのがわかった。

「って、何言わせるのよ!」

思わず滝くんの背中をバシッと叩く。
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