カンペキ王子は、少々独占欲強めです。

29

陸が玄関のドアを開けると、リビングから真っ先に飛び出してきたのは姉の楓だった。

「おかえり~~っ!!」

テンション高めの声に、陸が靴を脱ぐ暇もなく、質問の嵐が降ってくる。

「どうだった?楽しかった?花乃ちゃんの水着、可愛かったでしょ?セクシーだったんじゃないの~?
で、で! 昨日の夜は?あはっ、言わなくてもわかるけど~?」

その瞬間、陸がじろりと楓を睨む。

言葉はなくとも、目が語る。――それ以上、言うな。

「……あら、こわ。」

楓はピタリと口を閉じるものの、その口元はニヤニヤが止まらない。

「でもさぁ、陸がそんな顔して帰ってくるなんて、なかなか見られないからさー。
うっわ、これは完全に――大人の階段、のぼった顔じゃん?」

嬉しそうに笑いながら、ソファにどっかり座ると、クッションを抱えてくすくす。

「花乃ちゃん、泣かせてないよね?ちゃんと優しくした?」

陸はため息をつきながらも、その言葉にわずかに頬を緩めた。

「……お前って、ほんと、詮索好きだよな」

「ん~? 好きな子に夢中な弟をからかうのが、姉の特権でしょ」

にっこりと笑う楓は、どこか誇らしげだった。

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