カンペキ王子は、少々独占欲強めです。
30
大学のキャンパスの隅。
夏の終わりを感じさせる風が、緑の木立を揺らしていた。
ベンチに座る花乃の横に、そっと腰を下ろす陸。
その手には、ふたりで選んだシルバーのペアリング。
二人はそっと手を握ってきた。
「これから、授業で忙しくなりそうなんだ。」
「うん、分かってるよ」
「……うるさい姉貴もいるけど、俺の家で待ってて」
「うん、分かった。……でも、うるさくないよ、楓さん」
花乃の髪をふわりと撫でる陸。
その手は優しくて、でもどこか誇らしげだった。
「みんなのこと、私は大好き」
やっぱり、自分の好きになった人だなと陸は思った。
終わらない未来が、始まっていく。
焦らず、でもしっかりと歩幅を合わせながら。
“ふたり”という道を、少しずつ、形にしていく。
少々独占欲強めな、誠実で優しい王子様。
そのとなりにいるのは、ひたすら真っ直ぐで、少し泣き虫な女の子。
二人の恋の物語は、まだ続く。
だけどそれは、もう、誰にも邪魔できない、ふたりだけの世界。
Fin
夏の終わりを感じさせる風が、緑の木立を揺らしていた。
ベンチに座る花乃の横に、そっと腰を下ろす陸。
その手には、ふたりで選んだシルバーのペアリング。
二人はそっと手を握ってきた。
「これから、授業で忙しくなりそうなんだ。」
「うん、分かってるよ」
「……うるさい姉貴もいるけど、俺の家で待ってて」
「うん、分かった。……でも、うるさくないよ、楓さん」
花乃の髪をふわりと撫でる陸。
その手は優しくて、でもどこか誇らしげだった。
「みんなのこと、私は大好き」
やっぱり、自分の好きになった人だなと陸は思った。
終わらない未来が、始まっていく。
焦らず、でもしっかりと歩幅を合わせながら。
“ふたり”という道を、少しずつ、形にしていく。
少々独占欲強めな、誠実で優しい王子様。
そのとなりにいるのは、ひたすら真っ直ぐで、少し泣き虫な女の子。
二人の恋の物語は、まだ続く。
だけどそれは、もう、誰にも邪魔できない、ふたりだけの世界。
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