カンペキ王子は、少々独占欲強めです。
6
それから、陸は少しずつ学校に来なくなった。
来たと思ったら、午前中で早退したり、授業が終わると誰とも話さずにすぐ帰ってしまったり。
(……どうしたんだろう)
あの補習以来、まともに話せていない。
気づけば、顔を合わせることすら難しくなっていた。
声をかけようと思った瞬間は、何度もあった。
でもそのたびに、タイミングを逃して、足がすくんだ。
(“勉強のこと”でしか繋がってなかったのかな)
そう思うと、少しだけ胸が苦しくなった。
ほんの数時間だけだったけど、あのやさしさと距離が、忘れられなかった。
──そして迎えた、月末のある日。
6時間目の終わりを告げるチャイムとともに、担任が教壇に立ち、ホームルームが始まった。
「ひとつ伝達があります」
ざわめく教室。何気ない連絡事項のひとつだと思っていた。
「湯田中陸さんが、7月から海外の高校へ、留学することになりました」
その一言で、教室の空気が一瞬にして凍った。
(……え?)
思考が追いつかないまま、花乃の視線は、反射的に陸の席へ向いた。
けれど、そこには当然──誰もいなかった。
来たと思ったら、午前中で早退したり、授業が終わると誰とも話さずにすぐ帰ってしまったり。
(……どうしたんだろう)
あの補習以来、まともに話せていない。
気づけば、顔を合わせることすら難しくなっていた。
声をかけようと思った瞬間は、何度もあった。
でもそのたびに、タイミングを逃して、足がすくんだ。
(“勉強のこと”でしか繋がってなかったのかな)
そう思うと、少しだけ胸が苦しくなった。
ほんの数時間だけだったけど、あのやさしさと距離が、忘れられなかった。
──そして迎えた、月末のある日。
6時間目の終わりを告げるチャイムとともに、担任が教壇に立ち、ホームルームが始まった。
「ひとつ伝達があります」
ざわめく教室。何気ない連絡事項のひとつだと思っていた。
「湯田中陸さんが、7月から海外の高校へ、留学することになりました」
その一言で、教室の空気が一瞬にして凍った。
(……え?)
思考が追いつかないまま、花乃の視線は、反射的に陸の席へ向いた。
けれど、そこには当然──誰もいなかった。