カンペキ王子は、少々独占欲強めです。
18
前期のテストが終わり、夏休みが始まった。
花乃は、借りていた参考書を返すため、湯田中家を訪ねた。
インターホンを押すと、すぐに扉が開いて、楓が元気な声で迎えてくれた。
「花乃ちゃん、いらっしゃーい!」
その賑やかさに、思わず花乃は笑ってしまう。玄関の奥では、陸が少しうっとうしそうな顔をしていたが、それもまた日常の一コマのようで、どこか安心できる空気だった。
楓に手を振られながら、花乃はいつものように陸の部屋へ通された。
以前と少しだけ模様替えされた部屋には、ふたり分のグラスが用意されていた。陸は紅茶を差し出し、当たり前のように隣に腰を下ろす。
「ありがと」
グラスを受け取った花乃は、冷たいアイスティーを一口含み、ふうっと息を吐いた。テストから解放された安心感と、懐かしい部屋の空気が、じんわりと心に染みる。
しばらくふたりで黙ってティーグラスを傾けていたが、やがて花乃がぽつりと呟いた。
「たくさんお世話になったから……お返し、したいな。何がいい?」
その一言に、陸が目線をゆっくりと彼女に向けた。
花乃は、借りていた参考書を返すため、湯田中家を訪ねた。
インターホンを押すと、すぐに扉が開いて、楓が元気な声で迎えてくれた。
「花乃ちゃん、いらっしゃーい!」
その賑やかさに、思わず花乃は笑ってしまう。玄関の奥では、陸が少しうっとうしそうな顔をしていたが、それもまた日常の一コマのようで、どこか安心できる空気だった。
楓に手を振られながら、花乃はいつものように陸の部屋へ通された。
以前と少しだけ模様替えされた部屋には、ふたり分のグラスが用意されていた。陸は紅茶を差し出し、当たり前のように隣に腰を下ろす。
「ありがと」
グラスを受け取った花乃は、冷たいアイスティーを一口含み、ふうっと息を吐いた。テストから解放された安心感と、懐かしい部屋の空気が、じんわりと心に染みる。
しばらくふたりで黙ってティーグラスを傾けていたが、やがて花乃がぽつりと呟いた。
「たくさんお世話になったから……お返し、したいな。何がいい?」
その一言に、陸が目線をゆっくりと彼女に向けた。