カンペキ王子は、少々独占欲強めです。

19

「なかなか並ばないと買えないんだから、このケーキ。さっき、一朗と行ってきたの!」

楓は誇らしげにケーキの箱をテーブルに置いた。
そのテンションに反して、部屋の中にはまださっきの名残が色濃く残っている。

陸は視線を外し、少しバツが悪そうに楓に向かってぽつりと言った。

「……俺たち、付き合うことになった」

花乃の肩に回していた手を、少しきゅっと強くする。
花乃は赤くなった頬を隠すように、うつむいた。

「……!」

楓の目がまんまるく見開かれたあと、ぱっと笑顔が広がる。

「えっ、とうとう!? ええ~~~~っ、ほんとに!?」

嬉しさが爆発したように、楓は花乃の隣にすぐさま座り、手を取ってぱちぱちと叩いた。

「やばい、嬉しい~! ほんっと、おめでとう~っ!」

「うるせぇ……」と陸は少し照れながら言うが、表情はどこか緩んでいる。

「じゃあ、これはお祝いケーキだね! せっかく一朗と一緒に並んで買ったんだし」

花乃がお祝いという言葉で、また赤くなる。
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