本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
第五章 図書館の秘宝と家族の没落
夜会が無事に終わり、日常生活が戻ってきた。

 いつもの通りに仕事をしていたら、アザレウスが古い紙を手にやってきた。

「リティス嬢、パパベル、ちょっといいかな。これを見てほしい」

 アザレウスが言うには、古文書を保管している倉庫を調べていたら出てきたものだそうだ。

『おや、これってなんだ? オレ知ってるかも、知ってるかも!』

 パパベルは、アザレウスの持ってきた羊皮紙を眺めている。どうやら、彼の記憶の何かを刺激したようだ。

『これ、人間は禁じてるやつじゃねぇ? オレを呼び出すようなもんだと思うぞ』

「そうなのか?」

『おう。これな、この部分な』

 パパベルが指さしたのは、三行目のところ。そこには、『召喚』という意味合いの言葉が書かれている。

「本当ね。たしかにこれは、呼び出すための文言だわ」

『なー、アザレウス。オレ、これ見ていいかな?』

 興味津々で、パパベルは紙に張り付いたまま離れようとはしない。リティスが引きはがそうとしても無理だった。

「もちろん。パパベルにも力を貸してもらいたい」

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