本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
第七章 王宮が襲撃された夜
深夜、寮で眠っていたリティスは、嫌な予感に飛び起きた。

(……何があったの?)

 違う、予感ではない。

 王宮のどこかで、巨大な魔力が弾けたのを察知したのだ。もしかして、アザレウスの懸念が現実のものになってしまったのだろうか。

「パパベル!」

 ベッドから飛び降りながら、パパベルに問いかける。やはり、悪魔の魔力か。

『おう! 今の、悪魔の魔力だぜ!』

 しかも、これだけ大きな魔力と言うことは、かなり力の強い悪魔なのだろう。その証拠に、パパベルはぶるぶると震えてしまっている。

「あなたは隠れていてもいいわよ」

『おう、そうさせてもらうぜ。お前が死んだら、オレは自由の身だからな!』

 そんな、縁起でもない――と言おうとしたところで、たしかに使い魔との契約は、契約者が命を落とせば終了であることを思い出した。

「……死なないから大丈夫よ」

 なんて口にしている間にも、寝間着の上からローブを羽織る。靴下、靴、と続けて履き、部屋から飛び出した。

(……こんなに遠かったっけ?)

 毎朝王宮図書館まで通っているはずなのに、王宮がずいぶん遠くに感じられる。

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