本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
八章 疎外された令嬢は、幸せな令嬢となりまして
父は抗議していたけれど、フィノラのしでかしたことを何も知らなかったと言っても通じない。父もまた王宮に連れていかれて、いろいろと話を聞かれているようだ。

 フィノラが幽閉されたのは、牢の中でも高貴な身分の者を収監しておく牢だ。高い塔の上にあり、窓には鉄格子がはめられていて、簡単には逃げられないようになっている。
 フィノラの部屋に通じているのは、長い階段だけ。そして、魔術を完璧に封じているため、フィノラの逃亡は不可能だ。
 アザレウスと共にフィノラが幽閉されている場所を訪れたリティスは、室内を見回して目を瞬かせた。

(ここは、一応牢なのよね……?)

 室内の中央には、テーブルとそれを挟むように何脚かの椅子が置かれている。

 衝立の向こう側にはベッド。

 それからもうひとつの衝立の向こう側には、浴槽が置かれている。毎日は無理だが、数日に一度は入浴もできるようだ。

 床にはカーペットも敷かれている。鉄格子がはめられているにしても、窓は充分に大きく、日の光を室内に取り込むこともできる。

< 259 / 288 >

この作品をシェア

pagetop