【書籍化】貧乏家族の転生幼女は待望の水魔法の使い手でした~愛する家族とともに枯れた領地を潤します!〜
第1章 転生

 ここは、アルマー王国ファンドン州グライスナー領。

 王国南部に位置するファンドン州の中でも最南端に位置する辺境の地である。

 さらには、その領土の大部分が乾燥地帯という過酷な環境でもあった。

 この地を治めるのは、グライスナー家の現領主、アレス・グライスナー。
 代々お人よしで知られるグライスナー家だが、彼もまた例外ではない。

 厳しい環境下でも、約二百人の民のため、誠実な領地経営を行っていた。

 しかし、グライスナー領の民達は、限界寸前だった。
 過酷な自然環境と戦う日々。
 空は常に青く、雨の降らない代わりに、日差しが延々と降り注ぐ。
 そしてその容赦のない日差しは、植物を枯らしながら、同時に領民達の心をも乾かしていく。

 また、王国の最南端に位置するというその厳しい地理的条件から、他領との交易は不安定で、嗜好品(しこうひん)はおろか、食料品の調達さえ難しい。
 この状況がまた、領民達の心を貧しくさせていた。


「このままじゃ駄目、だよね……」


 甲高い声に似合わぬ大人びた口調で、そう独りごちたのは、ひとりの幼女。

 御年三歳である領主の子、レオナ・グライスナーその人だった。
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