孤高の総帥は初めての恋に溺れる

ラッセルグループの総帥

港で慌てて船の乗り場に向かう穂香を
見つめていると、秘書のジョナサンが
近づいてきた。

「テオ様珍しいですね。テオ様が女性に
興味を持たれるなんて、それもテオ様から
近づいていかれるなんて
どういう風の吹き回しですか?」

「なんだその日本的な言い回し。
ジョナサンが言うと笑えるな。
なぜか気になるんだよ。機内でもきょろ
きょろ動き回ったと思ったら、席について
高速でパソコンに何やら書きまくって
いたし、少し眠ったら着くまでずっと食べ
続けていたんだ。彼女」

「そうなんですか。それは面白い女性ですね
何者でしょうか?」

「う~ん、わからないけれど、アイランドに
泊まるみたいだからまた会えるかもな」

「そうですね。ではとりあえず会議の時間が
迫っていますので支社の方に急ぎましょう」

「わかった」

秘書のジョナサンにそう言われて、彼女に
また会えるのを楽しみにシンガポール支社に
向かった。

テオこと、武庫川・テオ・碧斗(あおと)は
若干32歳にして世界に冠たるグループ会社の
ラッセルグループの総帥である。

ラッセルグループは航空機製造、航空会社、
IT企業、不動産開発事業、ホテル経営の
各分野において1流の企業である。

ロンドン、ニューヨーク、東京、とここ
シンガポールに各会社の支社本社を
置いている。

航空機製造はニューヨークが本社、東京に
支社、航空会社はロンドンに本社東京に
支社、IT企業はシンガポールに本社
ニューヨーク、東京、ロンドンに支社がある
という具合だ。
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