皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~

第3章 選ばれない理由

そして、王宮の大広間。

眩いばかりのシャンデリアが、天井から光を降らせていた。

そこはまさに、夢の舞踏会──

だが、ただの舞踏会ではない。

これは、皇太子妃を選ぶための第2試験。

煌びやかなドレスを身にまとった令嬢たち。

その中に選ばれたのは、私を含む五名。

エミリア、マリアンヌ皇女、リディア、そしてもう一人、名のある伯爵令嬢。

そして彼らを迎えるように、数名の王族の男性が並んでいた。

もちろんその中心には、金の髪を持つ、アレシオ殿下の姿。

(他の王族とも……相性を見られるのね)

ただ踊りの技術を見るのではなく、誰が最も堂々と社交をこなし、皇族の隣に立つにふさわしいのかを──

緊張が大広間を包んだ、そのとき。

アレシオ殿下が、私の前に歩み寄った。

静かに差し出されたその手に、胸が高鳴る。

「踊っていただけますか?」

穏やかな声音。

けれどその瞳は、深く私を見つめていた。
< 61 / 234 >

この作品をシェア

pagetop