売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます

第10章 君がいるから、生きていける

月日は静かに流れ──
あの結婚式から、もう何年も経っていた。

そして今、私は五人目の出産に挑んでいた。

産声を何度も聞いてきたこの部屋で、また新しい命を迎えようとしている。

「まあ、もう慣れていらっしゃるでしょうから、大丈夫ですよ。」

産婆さんは笑いながら、手を動かす。

一番最初の男の子が生まれた日から、ずっと私を見守ってくれている人だった。

「ママ、大丈夫かな……」

奥の部屋では、私たちの三人の娘たちが、そわそわと落ち着かない様子で覗いている。

「ねえ、赤ちゃんいつ生まれるの?」

一番下のクリスティーンが、小さな手でクライブの袖を引っ張った。

「もう少しだよ、きっと。」

そう優しく答えながら、クライブはクリスティーンを抱き上げる。

「これ、赤ちゃんにあげるの。」

彼女は、手の中にしっかりと握りしめていた小さな飴玉を、クライブに差し出した。

「まだ食べられないよ。でも、ちゃんと預かっておくね。」
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