売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます

第4章 恋を知らない人の抱き方

最近、クライブは執務室にこもりきりだった。

「領地の再建に集中したい」そう言って、私の部屋には来なくなった。

わかっている。彼にはやらなければならない責務がある。

けれど──私は、この部屋に閉じ込められたまま。

誰にも会えず、どこにも行けず、ただ“抱かれる”だけが、私の存在意義。

だからこそ、不安だった。

今夜も戻らない。クライブの気配が遠くなる。

「……クライブ?」

思わず私は立ち上がり、扉を開けた。廊下を進み、屋敷の奥にある執務室の扉の前に立つ。

ノックをしても返事がない。

恐る恐る扉を開けると──

「……クライブ!」

彼が、机のそばに崩れるように倒れていた。

「クライブ、どうしたの!?」

駆け寄って、彼の体を揺さぶると、わずかに目を開けた。

「……クラディア……?」

息が荒く、額は汗で濡れていた。顔色が悪い。

「大丈夫? 今、誰か呼んでくる……!」

そう言いかけた私の腕を、クライブが掴んだ。
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