蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜

第6話「姉妹の再会と、真実の心」



 朝露に濡れる〈白花の小庭園〉。
 その中央に設けられた東屋に、リディアはひとり座っていた。

 ドレスも髪も整えられているが、瞳の奥にはほんのかすかな緊張の色が見える。


 (セレナは、来てくれるでしょうか)


 昨夜したためた手紙は、もう届けられているはずだった。
 返事はなかったが、胸の奥で小さな確信が芽生えていた。

 そして――足音。

 振り向けば、白いワンピースに身を包んだセレナが、庭の奥からそっと現れた。


 「姉さま……」

 「……セレナ。来てくれて、ありがとう」


 ふたりは、ほんの一瞬だけ視線を交わし、どちらともなく静かに席に着いた。




< 101 / 242 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop