蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜
第6話「姉妹の再会と、真実の心」
朝露に濡れる〈白花の小庭園〉。
その中央に設けられた東屋に、リディアはひとり座っていた。
ドレスも髪も整えられているが、瞳の奥にはほんのかすかな緊張の色が見える。
(セレナは、来てくれるでしょうか)
昨夜したためた手紙は、もう届けられているはずだった。
返事はなかったが、胸の奥で小さな確信が芽生えていた。
そして――足音。
振り向けば、白いワンピースに身を包んだセレナが、庭の奥からそっと現れた。
「姉さま……」
「……セレナ。来てくれて、ありがとう」
ふたりは、ほんの一瞬だけ視線を交わし、どちらともなく静かに席に着いた。