蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜
第4章
第1話「新たなる日々と、未来を拓く覚悟」
朝の光は、王宮の大理石の床を金色に染めていた。
深い青のカーテンが優雅に揺れ、清々しい風が窓から入り込む。
セレナは静かに目を覚ました。昨夜の誓いの余韻がまだ心の中に温かく残っている。
彼女はそっと横にいるアグレイスの顔を見つめた。眠る彼の穏やかな表情に、胸がじんわりと満たされていく。
(わたし、もう怖くない……)
決意と優しさが入り混じった感情が胸を満たし、彼女はゆっくりと起き上がった。
鏡の前で身支度をする間も、セレナの心は落ち着いていた。昨日までの不安は消え去り、代わりに新しい自分がそこにいた。
「今日から、わたしは王太子妃だ」
そう強く思い、彼女は柔らかな紫のドレスを身に纏った。銀の刺繍が陽光に煌めき、凛とした美しさを放つ。
(わたしはもっと強くならなくちゃ。民のために、あなたのために)
廊下を歩くと、侍女たちが忙しそうに動いている。彼女たちの目に映るセレナは、以前よりずっと輝いて見えた。