蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜
第5話「夜明け前の誓いと、揺れる心」
静寂に包まれた王宮の寝室。
月明かりが窓から差し込み、白いシルクのカーテンを淡く照らしていた。
セレナは眠れぬまま、ベッドの縁に座り込んでいた。
胸の中で渦巻く思いが、夜の静けさのなかでいっそう鮮明に響く。
(私には、まだ足りないものがあるのかもしれない)
過去の自分と今の自分。理想の王妃像と現実の自分。
その間に横たわる深い溝に気づき、心が揺れる。
「もっと強くならなきゃ」
そう自分に言い聞かせながらも、どうしても消せない弱さがあった。
扉が静かに開き、アグレイスがゆっくりと入ってくる。
彼の瞳には優しさと少しの心配が混じっていた。