蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜

第6話「未来への扉と、新たなる旅立ち」




 朝靄がゆっくりと晴れていく王宮の庭園。
 朝陽が柔らかく大理石の柱を照らし、花々は露のきらめきを輝かせていた。

 セレナは静かに目を覚ました。
 昨夜の誓いの余韻が心にじんわりと残り、彼女の胸は深い安堵で満たされていた。


 (ここまで来られた……でも、まだ旅は始まったばかり)


 目の前に広がる未来に、期待と不安が入り混じる。

 一歩ずつ、確かに歩んできた日々。
 喜び、葛藤、迷い、そして成長。
 すべてが彼女の心の糧となっている。

 廊下を歩く足音が近づき、扉が静かに開いた。
 アグレイスが穏やかな微笑みを浮かべて現れる。


 「おはよう、セレナ。よく眠れたか?」


 彼の瞳に映る朝の光が、優しく彼女を包み込む。


 「ええ、あなたのおかげで。もう怖くないわ」


 その言葉に、アグレイスはそっと手を伸ばし、彼女の手を包み込む。


< 132 / 242 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop