蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜
第5章
第1話「試される心、揺れる決意」
正式な承認から数日。
セレナは忙しい日々の中で、まだ慣れない公務と向き合っていた。
執務室に差し込む午後の光が、帳簿の山と報告書に静かに反射する。
その光景はまるで、彼女の心を映し出しているようだった。
「……これは、明日までに目を通さないといけないのよね」
溜め息混じりに呟くと、側に控えていた侍女が申し訳なさそうに小さくうなずく。
「はい、王妃様。ただ、王子殿下がお呼びです。少しお休みになられては?」
その言葉に、セレナはほんの一瞬迷ったが、手元のペンをそっと置いた。
(確かに今の私には、心を休める余白が必要かもしれない)