蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜
第4話「孤高の姉妹と、揺れる宮廷」
王宮の奥、かつての貴婦人たちのために用意された静かなサロン。
窓から差し込む淡い日差しが、重厚なカーテンとシャンデリアに反射して、柔らかく室内を照らしていた。
セレナは、銀器に注がれた紅茶の香りを吸い込むと、深く息を吐いた。
(リディア姉さまに会うのは……いつぶりだろう)
思えば、あの夜――「妃」としての立場を告げられて以来、まともに会話を交わしていなかった。
姉はずっと彼女を避け、そして彼女自身も、真っ直ぐにぶつかることを怖れていた。
けれど今は違う。
(もう、逃げない)
扉が静かに開く。