蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜
第3章
第1話「王都への帰還と、試される心」
それは、眩しいほどに晴れた朝だった。
神殿を発つセレナは、白と青の旅装に身を包み、アグレイスとともに王都へと向かう馬車へと乗り込んだ。
王都での“正式な番妃の承認”――それは、名実ともに彼の伴侶として認められるための第一歩。
「緊張しているか?」
馬車の中でアグレイスがそっと尋ねると、セレナは小さく頷いた。
「……はい。でも、それ以上に……あなたの隣に、ちゃんと立てるようになりたいって思ってます」
彼は微笑んで、そっとセレナの手を取る。
「なら、もう心配いらぬ。そなたは、わたしの番妃――誰がなんと言おうと、それは変わらぬ」
力強く、けれどとても優しい声だった。
その言葉に、セレナの心が静かに熱を帯びる。
(大丈夫。私は……、彼の隣に行くんだ)