蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜
第3話「花嫁承認の儀と、蒼銀の誓い」
王宮の大礼拝堂――そこは、代々の王妃たちが正式に迎えられる神聖な場所だった。
蒼銀の柱と、夜空のような群青の天蓋が広がる中、
セレナはひとり、長い花嫁道を歩いていた。
その手には、リリアノ聖花のブーケ。
緊張で指が震えるのを、彼女は深く呼吸して落ち着ける。
(私は、あなたの番妃になる。皆にそう、認めてもらうために……)
その想いを胸に、彼女はゆっくりと進む。
祝福の音楽が鳴り響く中、
セレナは祭壇の前、アグレイスの隣へと立った。
王家の重臣、貴族たち、そして神官たちが見守る中、儀式は静かに始まる。
「セレナ=ヴェステリア。汝はここに、王の番妃となることを望むか」
「……はい。心より、望みます」
澄んだ声が、大礼拝堂に響いた。
「アグレイス=ルミニア王太子。汝はこの者を、心から受け入れるか」
アグレイスは、静かにセレナの手を取る。
「はい。わたしはこの者を、わたしの唯一の番妃として、迎え入れます」