結婚願望ゼロのエリート心臓外科医に勢いでプロポーズしたら、なぜか溺愛夫になりました
焦げた目玉焼き
「では、これで印刷の手配をさせていただきますね」

「よろしくお願いします」

 鈴菜が笑いかけると、瑞穂、そして藤田もホッとしたように息をついた。

 彼らの結婚式までそろそろ一か月を切る。今日はふたり揃って打ち合わせにメゾン・ド・リュネを訪れ、式場から発注する席次表の最終チェックを行っていた。

「おばあ様の体調は落ち着いていらっしゃいますか」

「はい、手術は必要なんですけど今はとても元気です」

 悠磨の元で詳しい検査をした結果、狭心症であることがわかった瑞穂の祖母。現在は投薬で症状を抑えているが瑞穂たちの結婚式が終わったあと手術する予定らしい。

 胸を切るわけではなく、脇の下からカテーテルを挿入する手術なので高齢でも負担が少ないと聞いている。

「あんなに反対していたのが嘘みたいに、今では結婚式に出席するのをとても楽しみにしてくれているんですよ」

 嬉しそうな瑞穂の様子を見て鈴菜も心から安堵する。

「望月には今回、本当にいろんな意味で助けられましたよ」

 彼らの結婚式に悠磨は友人として招待されていて、席次表にもしっかり名前が載っていた。
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