婚活！～絶対幸せになれる婚、探してます～
第五章　好きだけじゃ成り立たない関係
翌朝の目覚めはなんだかぼんやりしていた。お酒が残っているわけではないし、体調もそこそこ良好ではあるけれど、とにかく会社に行きたくない。

正直に言うならば、聖澤さんと顔を合わせるのが怖い。

怒っているかなあ……。怒っているよねえ……。失礼なこと、言っちゃったもん。

とはいえ休むわけにもいかないので、のそのそとベッドから這い出て出社準備を整える。

オフィスに到着すると、さっそく廊下で聖澤さんと顔を合わせてしまい動揺した。

なんて声をかければいいのだろう、同僚とこんな気まずい状況になったことがないから対応の仕方がわからない。視線のやり場に困る。

しかし、当の聖澤さんは急いでいたのか足早に脇をすり抜け、奥の会議室へ入っていってしまった。

なんの挨拶もしなかったのは彼が忙しそうだったから。そんな理由付けができてどこかホッとしている自分がいる。

数カ月前なら、聖澤さんとすれ違ってもろくに挨拶もしないのが当たり前だった。なのにどうしてだろう、今は心臓が鈍い痛みを発している。

ただの同僚に戻っただけだ、そう自身に言い聞かせて、心の痛みをなかったことにする。

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