婚活!~絶対幸せになれる婚、探してます~
第七章 未来を感じる約束
「金で片づけられると思ってるの!?」

都内のシティホテルのラウンジでヒステリックに声をあげたのは、華村で出た食事をSNSに投稿して炎上させた篠原様だ。

謝罪と宿泊代の返金を申し出たものの、和解が進まず拗れている。

「せっかく『いい宿があるから』って友人たちを誘ったのに、恥をかかされたわ! 信頼はお金を積んだって戻ってはこないでしょう?」

「申し訳ございませんでした」

立ち上がり深々と頭を下げたのは、私と華村の女将さん。女将さんには東京までわざわざ足を運んでもらったのだ。

私は顔を上げ、力の限り篠原様を説得する。

「篠原様のご意見を真摯に受けとめ、あれから一カ月、業務の改善に取り組んで参りました。どうかもう一度おもてなしする機会をいただけないでしょうか」

返金だけでは悪いイメージが払拭されない。もう一度華村に招かせてもらえないだろうか、そう交渉しているのだが、篠原様は嫌悪感をあらわにした。

「冗談じゃない、二度と行かないわよ」

冷ややかな返答にあきらめかけたとき、女将さんが絨毯の敷かれた床に手をついて深々と頭を下げた。

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