婚活!~絶対幸せになれる婚、探してます~
第八章 覚悟、決めたから
桜の花が見頃を迎えた三月末。聖澤さんがお花見のできる宿を予約してくれた。

その日、朝早くシルバーのセダンで自宅まで迎えに来てくれた彼。彼の車を見るのも私服を見るのも初めてで、思わず目線を彷徨わせてしまった。

……なんていうか、基本的にモノトーンなんだけど不思議と爽やかなのよね。

ブラックのカジュアルジャケットにホワイトのカットソー、ボトムスは淡いチェック柄の入ったグレーのテーパードパンツで、洒落た印象なのに落ち着いている。

「……普通だって思った? だから言っただろ、説明のしようがないって」

後部座席に私の荷物を詰め込みながら、私服についてどこか気恥ずかしそうに説明する彼は、自分のセンスのよさをまるで理解していない様子。

私から見れば好感度の塊みたいなファッションだ。髪型もスーツのときとは違って前髪を下ろしている。あどけなさが感じられてなんだかかわいい。

「すごく似合ってますよ」

素直に感想を述べると、彼はまいったように顔を背けた。

「……あんたも、似合ってる」

そのままぼそりと呟いたので、思わず耳を疑ってしまう。

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